敏宮凌一の墓標

ここは、敏宮凌一による、過去と最近に制作した様々な作品をただ置いていくだけの場所である。

立体作品 No.01

アブサン01

©2022 Ryoichi Satomiya

アブサン02

©2022 Ryoichi Satomiya

アブサン03

©2022 Ryoichi Satomiya

                                        アブサンの精」
制作年:2022年
使用したもの:石粉粘土、スワロフスキークリスタル、ガラスビーズ、アクリルガッシュ、ネイルストーン、マニキュア、アブサンスプーン

"fairy of absinthe"
2022
Stone powder clay,Swarovski crystal,Glass beads,acrylic paints,rhinestone,nail polish,absence spoon
                                       

これは、2022年に東京都のあるバーテンダーから「独立してバーを開くので、その際の飾り物がほしい」という依頼を受けて、制作した物です。
ところが、そのバーテンダーが開業直前に新型コロナに感染・発症してしまったために味覚と嗅覚を失ってしまい、バーテンダーを廃業してしまったために開業を断念した上に、「バーを開こうと思った時のことを思い出してしまうから・・・」という理由で受け取りも拒否をされてしまった上に制作費用などのお金ももらえませんでした。
身寄りの無い“彼女”は、現在も私のところにいます。

ちなみに作品の名前にある「アブサン」とは、西暦1700年代からあったと言われている、フランスを中心にヨーロッパ各国で作られている*1アルコール度数が高い緑色のリキュールのことです。ニガヨモギなどを中心に、複数のハーブとスパイスで出来ています。
主な楽しみ方としては、アブサンに適量の水と砂糖を溶かして飲んだり、角砂糖に少量かけて食べたり、ラム酒やコーラで割るという方法があります。
ちなみにアブサンは、日本でも一部の酒屋さんや洋酒を扱うオンラインショップで売っています。
ja.wikipedia.org私がアブサンのことを知ったのは、2010年代にBSで放送されていた『BARレモン・ハート』というドラマの「最も危険な酒」というエピソードでした。
バーの中で「不幸続きだから殺してくれ!」と喚く青年に腹を立てた客の一人が「これを飲めば死ねる」と、アブサンをショットグラスに注ぎ、高圧的な態度で青年に飲むように勧めるという内容です。
もちろん、この後に急展開とハッピーエンドがあります。このエピソードはDVD化されているので、詳しくは本編をご覧ください。
ちなみに、このエピソードに出てきたのは「エクストリーム・アブサン」という特殊なタイプのアブサンです。store.musashiya-net.co.jp

barlemonhart.com
話を戻します。
この作品を作ろうとしたキッカケは、アブサンの特徴である、水を入れると緑色から別の色に変わることから「緑の妖精(または緑の悪魔)」または「悪魔の酒」と海外で呼ばれるということに私自身が興味を持ったからです。
www.nomooo.jp参考のためにネットで検索してみたのですが・・・・
海外ではアブサンを主題にしたものやアブサンが入ったグラスがさりげなく描いている絵画作品があったり、アブサンの広告の中には様々な擬人化されたアブサンが描かれているのに、日本では国民性や法律のせいもあるのか、アブサンの広告はおろか、アブサンの擬人化キャラも見つかりませんでしたので、私なりにアブサンを擬人化してみようと思いました。
omochi-art.comしかし、「超人ハ〇ク」のような緑色の男性のヒト型キャラクターしか知らない私が、緑色の女性のヒト型キャラクターを創造することはすごく大変でしたし、アブサンの二つ名(?)である“緑の妖精”または“緑の悪魔”というのをどう表すかということにも、とても苦悩しました。
妖精っぽくなるようにと身体中にラインストーンを埋め込んでみたり、悪魔っぽさを表すために翼のデザインを考えたり、アブサンにまつわる様々な伝説の可視化にしたいと思い、特殊カラーのスワロフスキークリスタルを目にしたり、胸の具合をどうしたりするかなどと試行錯誤していました・・・。
ちなみに、アブサンの精が抱きかかえている物は「アブサンスプーン」と言う、アブサンを飲む際に使う道具で、スプーンのデザインは海外には数えきれないほどあるらしいです。

absinthe.hatenablog.jp

*1:メーカーやブランドなどにもよるが、40%から89%というのが多いという。